霊柩運送事業は、「貨物自動車運送事業法」に基づいて、一般貨物自動車運送事業として国土交通大臣から許可を受けた事業者だけが行うことができるライセンス事業です。
そして、霊柩運送事業は、この法律の名称のとおり、貨物自動車(トラック)運送事業の仲間とされています。これは民法上の規定によって「人間」はその死を境に「物」に変わるため、その「物」であるご遺体を搬送する霊柩運送事業は、貨物自動車運送事業であるということが理由となっています。
しかしながら、私どもは、ご遺体が単なる「物」であるとは考えていません。人間の死という、ご家族にとって大変に重い出来事の中で、いかに人間としての尊厳を損なわずに、その役割を果たせるかに最大限の配慮を払っています。
また、ライセンス事業であることから、ご遺体を搬送するための霊柩自動車は、営業用自動車に与えられる「緑ナンバー」が必ず装着されています。つまり、自家用車(白ナンバー)のご遺体搬送は法律違反であります。
霊柩運送事業は、大阪地区及び中部地区において、大正初期より営業を開始し、全国へと波及していきました。
現在運行いている霊柩自動車は、宮型車 ・ 洋型車(特別車)とバン型車 ・ バス型車(普通車)の4車種に分けられます。ここでは、歴史的な霊柩車から日々運行している霊柩車をご紹介します。
遺体を収めた棺を置き、担いで運ぶ。
屋根は唐破風となっており、宮型霊柩車の原点となっている。
明治初期頃まで使用された駕籠。
大八車に輿を乗せたもの。
二方破風の屋根、側面には花鳥等の彫刻を施し装飾、形状共に宮型車に近づく。
現在、写真として残っている
霊柩車では
最古のものと思われるビム号。
(大正7年)
車体にはパッカードを使用。
霊柩自動車の運賃及び料金は、各社ごとに国土交通大臣に届出を行い、その内容が適正であると認められた額が適用されることとなっています。
したがって、霊柩運送事業者が、他人の需要に応じ霊柩自動車でご遺体を搬送する場合は、届出した運賃及び料金が適用されますので、無償(無料)の搬送はありえません。
※ 無償(無料)のご遺体搬送行為は違法です。
霊柩運賃及び料金の計算方法は、ご利用される霊柩自動車の種類や走行距離などによって金額が異なります。原則は、ご利用された霊柩自動車の車庫から起算し、ご遺体の積込み場所(病院や自宅及び葬儀式場)を経て、ご遺体を取卸した場所(自宅や葬儀式場及び火葬場)までの間の走行距離に応じた金額となります。
■特別車
車体の構造に高級堅木材等を使用し、彫刻、絵画、金具飾、漆塗装による工芸装飾を施した車両(宮型霊柩車)。
及び、欧米式の特別な装備装飾を施した車両(洋型霊柩車)であり、主として葬儀式執行時の用に供される特別仕様の車両。
■普通車
特別車以外のもので、主として病院等からの遺体輸送の用に供される車両(バン型霊柩車)。又は、遺体及び随行葬送の遺家族を併せて輸送する車両(バス型霊柩車)。
- 深夜割増運賃 (22:00〜5:00までの間待機した場合)
- 夜間割増運賃 (19:00〜22:00までの間待機した場合)
- 早朝割増運賃 (5:00〜8:00までの間待機した場合)
- 冬季割増運賃及び料金 (運送区間中に冬季割増適用地域に該当する部分がある場合、2割増)
- 車両留置料金 (ご依頼人の都合によって30分以上、車両が待機した場合)
- 遺骨宅送料 (ご遺骨を宅送するための帰路乗車する場合)
- 2名乗務 (長距離搬送等で交替運転者が乗務した場合に1名分の費用)
- 有料道路料金、フェリーボート料金
- その他、霊柩自動車運転者の通常業務の範囲を超えた作業があった場合の費用
- 葬祭扶助料の給付を受けた葬儀における火葬場までのご遺体の搬送
→ 普通車基本額に限り 5割引 - 身元の判らないご遺体の搬送
→ 普通車基本額に限り 3割引 - 行政 ・ 司法解剖のためのご遺体の搬送
→ 普通車基本額に限り 2割引 - 国公立病院の依頼による搬送
→ 普通車基本額に限り 2割引以内
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